私が自著の「忘れられた正室 武田信玄の正室三条夫人 ブックコム」を執筆するに当たり、論の構築・構成、また江戸時代の史料の読み方など、福田千鶴先生の「ミネルヴァ日本評伝選 淀殿 ミネルヴァ書房」を、間接的に、いくつか参考にさせていただきました。(やっぱり、福田千鶴先生の「淀殿」を読んで、「甲陽軍鑑」も、江戸時代の史料なんだなあとも、改めて実感させられました。その文章表現の方法など。)

このため、思い切って、その著作を何冊か読んでいる、福田先生に寄贈しました。

先生の、その鋭い史料読解力や、緻密かつ画期的な研究には、注目しているので。

ぜひこのような、現在注目の歴史家であり、尊敬する歴史家である、福田先生に私の著書を、ぜひ読んでいただきたいと思いました。

 

また、どうも徳川家康及び政権正当化のための、スケープゴートにされている形跡がある、淀殿や築山殿の悪女的な扱い。

これが同じく武田信玄の義信事件に対して、武田信玄正当化における、スケープゴートにされている感がある、三条夫人とも重なる部分があるような気がするので。それに、当時の一次史料の文献中での彼女本人についての記述は一切なく。

更にまた、江戸時代成立の「甲陽軍鑑」や「二木記」中の記述もわずかであり、山梨や長野にほとんどその痕跡もなく、実像が全然わからないような女性にも関わらず、なぜか決まって、よく小説やドラマや一般書などで、勝気な女性及び 武田信玄の一番の愛妾のような存在に描かれたり、扱われたりする、諏訪御料人のこのような扱われ方の背景には、どうも淀殿と同一視されている形跡が、見て取れるので。

そしてその違いと言えば、こちらは若くして亡くなっていて、また悪女的話も残っていないため、悪女ではなく、悲劇の女性として扱われやすい事くらいでょう。