普通、武家の婚礼というと、女性は幸菱の白い打掛を着て、三献の盃を交わすという形式ですが。

しかし、信玄と三条夫人の場合は、天皇からの勅命だとも言われており、二人の婚礼は公家式に行われたのではないかと推測されています。

時代考証家の稲垣史生氏によると、二人の結婚は、以下のような方法・手順で行なわれたのではないかと推測されています。勅命と思われるため、まず姫君が導かれ、北側から几帳の陰へと入る。続いて新郎の信玄も、烏帽子に直衣姿で、同じく几帳の南側から入る。

そして中で新郎新婦が向き合って座っている所へ、白無垢の女房が小餅を持った銀盤を捧げ持ちながら入る。

添えられてあるのは銀製の箸、新郎新婦はこれを取って、餅三枚を食べる。ただし、食べるといっても、その真似である。

そしてその後には、新郎に酒が出される。